2013/02/16

シー・シェパードが今季初の妨害活動



Sea Shepherd Flag / brandbook.de


2月15日、反捕鯨団体シー・シェパードが日本の調査捕鯨船団に
この冬初めての妨害活動を行ったようです。
水産庁は、南極海を航行中の日本の調査捕鯨船に対して、反捕鯨団体「シー・シェパード」の船が、日本時間の15日、海中にロープを投げ入れるなどの妨害活動を行ったことを発表しました。
調査捕鯨船は、警告をしたうえで放水などを行いましたが、妨害はおよそ2時間半にわたって続きました。
シー・シェパードに対しては、去年12月にアメリカの裁判所が妨害活動を禁じる仮処分の決定を行っていて、水産庁は「妨害活動は、調査捕鯨に従事する乗組員の生命や船の安全を脅かす極めて危険な行為で、断じて許されるものではない」と話しています。

なお、米裁判所の仮処分に対しては
シー・シェパードが無効を申し立てていますが既に却下されています。
米第9巡回裁判所が昨年12月に出した日本の調査捕鯨団への妨害行為差し止め仮処分命令をめぐり、連邦最高裁は14日までに、無効を申し立てた米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗告を却下する決定を下した。

なぜ日本?

シーシェパードは、日本だけではなく捕鯨を行っている各国を
ちょこちょこ邪魔してきた経緯があります。
しかし近年、日本がやたらとターゲットにされるのも事実です。

捕獲数が比較的多いこともあると思いますが
他の捕鯨国は漁場を近海・沖合に限っており
現在日本のみが公海上での捕鯨を行っているというのが
建前上の理由になっているようです。
公海上で捕鯨を行っていることは
グリーンピースなど日本だけを叩きたい環境団体の格好の論拠ともなっています。

実際は、ノルウェーは海軍が捕鯨船を護衛するようになっていたり
昔ロシアを邪魔してイカリを投げられた経験があったりと
他の捕鯨国と比べると、せいぜい放水しかしない日本は
妨害の「やりやすさ」があるのは否定できないと思います。
加えてシーシェパードの出自であるグリーンピースもそうであったように
単純に先進国・日本をたたくのが一番「金」になるという事情もありそうです。

IWCと捕鯨事情

他国の捕鯨事情はどうなっているでしょうか。
国際捕鯨委員会(IWC)の管理下で行われている捕鯨は3種類あり
一言では片付けられないややこしさがあります。
1982年にIWCで「環境」団体グリーンピース様の主張がからみつつ
商業捕鯨モラトリアム(商業捕鯨の一時停止)が採択され
その受け止め方で各国の対応が分かれています。
  • 先住民族がやっていて彼らの生活に欠かせないからとるね(先住民生存捕鯨
  • 商業捕鯨ダメとか納得できんので無視してとるし(異議申し立てによる商業捕鯨)
  • 生態や資源量の調査を名目にIWCが認めた分だけとるね(調査捕鯨)
あからさまに抜け道のように見える先住民生存捕鯨は
アメリカやロシアが該当しています。
アメリカは「商業捕鯨」に反対しつつ
「先住民生存捕鯨」として捕鯨を続けているという
超絶ダブルスタンダードです。
日本は同一民族が継続しているというだけで、
先住民を侵略しておいてお情けをかけている形のアメリカと
「伝統」という面では変わらない気がするのですが
この先住民生存捕鯨という名目では
日本の権利はなぜかIWCで否決されています。

クジラの種類・大きさなどがあるので
ひとくくりにはできない部分もあるのですが
IWCが発表している最近のクジラの捕獲頭数です。
先住民生存捕鯨
米・露・デンマーク.. 
異議申し立て
ノルウェー・アイスランド 
調査捕鯨 
日本 
2009 
 336
 690
 825
2010
 406
 676
 425
2011
 384
 591
 540

たしかに日本の捕獲量は比較的多く
2008年以前の4年間、日本は1000頭前後で推移していましたが
減少傾向ではあります。

これらに加えて、IWCが管理できていない「捕鯨」も存在します。
そもそもIWCの非加盟国を管理できません。
「モラトリアム」採択を受けて、結局カナダ・フィリピンはIWCを脱退し
アイスランドも一時脱退していました。
また、加盟国であってもグレーな方法もあります。
韓国では2012年に「偶然に」網にかかって捕獲されたクジラは
日本の調査捕鯨で捕獲される2倍以上の2350頭に上るそうです。
なぜか韓国にもクジラ料理専門店が存在しているのです。

非難されつつも日本がIWCの枠組みを守ろうとする努力は
涙ぐましいものがあるのです。
あくまで現在の日本の捕獲はIWCに認められた範囲で行っていることで
政治的に避難される筋合いはないわけです。
だからオーストラリアだまれや。
捕獲頭数が多いので
もし脱退したところで国際的な批判は免れられないでしょうから
踏みとどまっているのは賢明だと思います。

シーシェパードの「成功体験」

さて、シーシェパードの活動がクジラの保護を目的とするならば
1000頭前後を捕獲していた頃ならまだしも
少なくともここ3年はシーシェパードが
日本だけにこだわる合理的な理由はありません。

やはり低リスクで金になるという「魅力」があるのかなと思えます。
公海上で漁をするということ警備隊の手から遠くはなれるということです。
また、他の国の沿岸警備隊は普通に「撃ち」ます。
放水で終わらせてくれるのは日本ならではなので
もし近海に漁場をかぎったところで事情は変わらないかもしれません。

金になるのは、その出自であるグリーンピースの時代から金の稼ぎ方と
その結果醸成された米世論の「捕鯨する日本」の記憶が無関係ではないと思います。
70年代後半から80年代、日米経済摩擦で日本憎しの世論を背景に
グリーンピースが小さな反核団体から巨大な「環境」団体に成長しました。
その成長(=資金集め)の方法がメディア戦略です。
グリーンピースは捕鯨船への抗議ボートにテレビカメラを引き連れ
ボートで過激に体当たりをする光景を放映して、抗議活動を宣伝化しました。
それが経済摩擦で日本憎しの世論に見事にマッチし
巨額の「支援」で成長することに成功したわけです。
彼らのプラカード・横断幕は抗議対象の船ではなく
カメラに向けられました。
テレビ、つまり視聴者を意識したパフォーマンスによって
支持を拡大していったわけです。

まったく同じことをシーシェパードも行っています。
抗議船にカメラクルーを乗船させ、捕鯨妨害の様子を撮影した米有料チャンネル、アニマルプラネットの番組「Whale Wars(クジラ戦争)」が2008年に始まると、団体の収入はうなぎ上りに増加。2010年には、米内での総収入は991万ドルと過去最高を記録した。
団体が与えたワトソン容疑者の年俸は05年に7万ドル、06-08年は8万ドルで、09年に9・6万ドル、10年に12万ドルとなっている。ワトソン容疑者は反捕鯨国のメディアに頻繁に出演しており、出演料を含めると年間収入はさらに多いとみられる。

シーシェパードへの寄付企業には
有名どころも含まれています。
日本でお目にかかる企業です。
  • アウトドアのPatagonia(パタゴニア)
    資金・物資のスポンサーをしているようです。産經新聞には1993年と2007年に2回にわたり合計金額130万円の資金提供を行った(wikipedia)と答えたらしいです。電話で直接聞いたところ毎年100ドル程度という回答を得たという方もいました。シーシェパードの行動を支持・評価する声明も一時、発表していました。
    基本的に支援企業は非公表のようなので、現在・今後も可能性はあるということです。
  • 石けんなどのLUSH(ラッシュ)
    UK本社がシーシェパードのキャンペーンなどに参加しています。LUSH店頭にシーシェパードのロゴを貼っていたりする写真がWeb上で見られます。
    ラッシュジャパンが否定声明を出しています。が、よく読むとラッシュ「ジャパン」が関係ないと言っているだけです。
  • サーフブランドのクイックシルバー・ロキシー
    シーシェパードとコラボレーションした服を販売しています。
シーシェパードの行為に嫌悪感を抱く方は
少なくとも自分の払うお金では
日本人を傷つけないように気をつけましょう。

飛躍かもしれませんけど...

安倍さんがタイムリーにこんなことをおっしゃっています。
安倍晋三首相は15日、自民党本部で開かれた憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)の会合で講演し、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんを引き合いに出して「こういう憲法でなければ、横田めぐみさんを守れたかもしれない」と改憲の必要性を訴えた。
首相は「日本は拉致犯の存在を知りながら手を打てず、拉致被害の拡大を許した」と言及。1977年に旧西独のルフトハンザ機がテロリストにハイジャックされた事件に触れ、「西ドイツは実行犯を射殺して人質を奪還し、世界から喝采された。西ドイツは何度も憲法改正をしてきたからできた」と強調したという。

シーシェパードが日本を狙い続けるのは
日本の対応は命の危険がないことにも
一因があると思えます。

非常事態に備える法整備や体制作りは
なにかと左寄りの人に「戦争準備」と騒ぎ立てられますが
十分な防御の準備、不足の事態にいつでも対処をできる法整備・体制を作っておかないと
あらたな悲劇は今後も生まれてしまうと思えます。

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